『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』 結城浩 著

数学ガール ゲーデル不完全性定理結城浩
難易度はかなり高い。良書。
対話形式を有効に取り入れた本で、かなり本格的な本。
計算主流の高校数学から本格的な大学の数学へ移行する橋渡しとしても良い本だと思う。6章には、イプシロンデルタ論法の親切な解説がある。

さて、この本は単に、定義、定理、証明を書いているだけではない。概念を拡張する動機や、なぜそういった定義をするのかを丁寧に解説してくれている。これは非常にありがたい。

ただ、全体を通して本の内容はかなりレベルが高い。萌え本では決してないのである。ガールという軟派な言葉の響きに惹かれて、この本を立ち読みせずにアマゾンで買うのはやめた方がいい。
私も、まだ全部は読めていない。


ここからは、この本とは別件。
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区間(0,1)と閉区間[0,1]の間に全単射を構成せよという(1)の問題。

恥ずかしながら、思いつかなかったので、答えを見た。
答えにも驚いたが、それ以上に全単射の存在は直観に反する。
なぜなら、
区間(0,1)は閉区間[0,1]の真部分集合であるから。

「2つの集合は両端の2点分、個数が違うではないか。全単射が存在するなんてそんなバカなぁー」と思うわけですよ。

でも、回答者さんの回答は正しい。

区間(0,1)の要素xにおいて

x=1/2のとき、y=0
x=1/3のとき、y=1
x=1/n (n>3の自然数) のとき y=1/(n-2)
上記以外のとき y=x

このときの写像 x→y

これ全単射。紙にグラフを書くと、先に2つの端点をプロットして、後でどんどん原点に近づきつつ、全ての点を重複なくプロットしていく。たしかに全単射

マジかよ。。
無限という世界は、私のような凡人の直観に反することだらけなのだ。

最後に、数学ガール P.81を引用する。私は、ガリレオと同じようなことを考えた。私はデデキントカントールにはなれなかった。

ガリレオは、自然数から平方数への全単射が作れることを知っていた。
全単射が存在すれば個数が等しい>というなら、自然数と平方数の個数は等しいといえるだろうか……いや、おかしい――とガリレオは考えた。なぜなら平方数は自然数の一部分にすぎない。全体と部分の個数が等しいというのは明らかにおかしい。だから、無限では全単射で個数が等しいとはいえない――とガリレオは考えた。(中略)
しかし19世紀、カントールデデキントは、まったく同じ数学的事実を見ながら、ガリレオのようには考えなかった。デデキントは、全体と部分との間に全単射が存在することが無限の定義である、と考えた。これはとてつもなく大きな発想の逆転だ。