フィルベルト行列の逆行列を計算してみた

「(全てのサイズの)フィルベルト行列の逆行列は、どの成分も整数である。」
という定理がある。 Richardson "The Filbert Matrix" 1999https://arxiv.org/abs/math/9905079

 フィルベルト行列とは、(i,j)成分が 1/F_{i+j-1}で表される正方行列。
 (ただし、F_{n}はn番目のフィボナッチ数。)

これは、ヒルベルト行列 Choi "Tricks or Treats with the Hilbert Matrix" 1983のときと全く同じ性質。

(私はこれら2つの文献を、Berg "Fibonacci numbers and orthogonal polynomials" 2010? から知った。)

私は試しに、フィルベルト行列の逆行列数値計算してみた。この逆行列計算の方法には、以前と同様、Schemeの正確数を利用した。Cf.桁数が爆発的に増える数値計算実験(GaucheとMIT Schemeを比較) - nibosiiwasi’s blog


結果だけメモする。

5X5のフィルベルト行列

((1 1 1/2 1/3 1/5)
(1 1/2 1/3 1/5 1/8)
(1/2 1/3 1/5 1/8 1/13)
(1/3 1/5 1/8 1/13 1/21)
(1/5 1/8 1/13 1/21 1/34))

その逆行列

((25 600 -7800 -27300 61880)
(600 7200 -124800 -393120 928200)
(-7800 -124800 1946880 6388200 -14851200)
(-27300 -393120 6388200 20638800 -48266400)
(61880 928200 -14851200 -48266400 112621600))

なお、ヒルベルト行列だけでなくフィルベルト行列もサイズを大きくすると、逆行列の各成分の桁数は物凄い勢いで増えていく。